空き瓶通信0065 金木犀が咲きだした

James_Peng / Pixabay

昨日から、庭の金木犀がいっせいに咲きだした。玄関の扉を開けたとき、鼻腔にへばりついてくるようなあの甘い匂いがわたしをつつみこんできて、ああ、もう秋になったのだと、しみじみ思った。

わたしの庭の金木犀は、毎年かならず10月1日に咲き出す。ここ数年注意して見ているが、月が改まって暦が残り三ヶ月となったその日にあわせて、一気に匂い立つのだ。金木犀はなんとも不思議な植物で、橙色の細かい花が咲き出す数日前まではそんな気配すらまったくなくて、もしかしたら今年は花をつけないのかと思ってしまうほどなのに、時期がくると荘厳ともいえるほどの、年に一度の晴れ姿となる。自然というものは、目に見えないエネルギーによって一定のリズムをもって動いているのだということが、この植物を見ているとよくわかる。

残念なことに、金木犀の花の時期はわずかである。一週間もすると、足元にこんぺいとうのような花弁が落ちていて、あの素敵な匂いがうすまってくる。花のいのちは短いものだとはいうが、金木犀は特にそうであるようだ。

きのうはちょうど十五夜で、夜には空に大きな月がかかった。雲ひとつない夜空だったから、それはそれは美しい月だった。金木犀と中秋の名月、いろいろあった今年だが、たしかに時は流れているようだ。

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