空き瓶通信0023 細野晴臣「北京ダック」

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演歌であれ歌謡曲であれ、またロックやポップスであれ、その歌詞のほとんどは、男女間の思いをうたったものである。あたかも恋愛感情以外はうたいあげてはいけない決まりがあるかのように、好きだ、忘れられない、さようならといった調子の言葉だらけである。

しかし、当たり前だが、この世界は男と女の惚れたはれただけでまわっているのではない。他にも素敵なことや面白いことがたくさんある。たしかに男と女にまつわることは、胸がおどったり、はたまた締めつけられたりと人生の醍醐味ではあるが、いくらなんでも、この偏りはなんだろう。

今回紹介する「北京ダック」は、まったく恋愛もなにも関係ない、楽しいうたである。雨が降る横浜に来た女の子が中華街で火事にあって、街へ駆け出した調理寸前のアヒルとともに逃げるさまをうたっているのだが、コミカルな歌詞がリズミカルなメロディーとあいまって、聴いていて心地いい。恋愛がなくても音楽は成立するのだという、当たり前のことがわかる。

作詞作曲と歌唱は、細野晴臣。レコーディングされたものもいいが、最高なのは実際に横浜の中華料理店で演奏し、うたっているこのバージョンである。

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