高山宏 學魔_nonbot 身内と胎内 『失われた庭』の僕 14~16

身内と胎内 『失われた庭』の僕 14): ひょっとしてそこだけは渋澤龍彥に似ているのかと思うが、母が洋装関係だったことがあったり、母方実家が大きな呉服店だったりもして、小さい頃から女だらけの世界での立ちまわりが巧くて、要するに艶福にだけはめぐまれて長じた。女好きなのである。

身内と胎内 『失われた庭』の僕 15): 「愛人」騒ぎの中で数回の親族会議がもたれた。平生はぼくを縁者中のホープのように言っていた親族たちが、母も含めて、大まじめでぼくの結サク手術の相談を始めたのも、「ヒロシのことおこし」ぶりを皆、よく知っていたからかもしれない。

身内と胎内 『失われた庭』の僕 16): 輸精管を糸でしばりあげて癒着させる手術のことで、つまりはパイプカットである。呉で開業している親戚の産婦人科医が、ひろし君、すぐ終るし、ちっとも痛くないし、とぼくの説得を始め、そのいちいちに母がうなずいているのを見て、ぼくは苦笑する他ない。

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