空き瓶通信0070 変わりゆく東京

meguraw645 / Pixabay

先日、ひさしぶりに原宿に行ったら、駅の構造がまるっきり別のものになっていて、たいそう面食らった。わたしが親しくなじんでいた原宿駅は、なくなっていたのである。明治神宮方面に出る改札の場所が変わってしまっていて、名前こそ同じ原宿駅ではあるが、これではまったく別の駅であるという思いしかなかった。かつての面影は、トイレの位置ぐらいではないだろうか。

このような変化は、なにも原宿駅にかぎったことではない。この数年、東京では破壊ともいえるような変化が、あちこちの駅で起きている。まず、いちばんはじめに被害にあったのが渋谷駅で、副都心線との相互乗り入れの開始によって、東横線のホームが地下の深いところに移ってしまった。また渋谷では新しい駅ビルの建築も平行しておこなわれ、その影響もあるのか、駅周辺のお店のほとんどが大資本のチェーン店ばかりになってしまった。渋谷はいつのまにかなんの魅力もない郊外の中核都市のような雰囲気になりつつあるといわれて久しいが、ほんとうにそうだと思う。

新宿駅の変化にも、すごいものがある。新宿駅はいつも何かしらの工事をしていることが常態化しているが、今回の東西自由通路なるものは、新宿駅の構造そのものを大きく変えてしまった。いままでJRの改札を通らなくては入ることが出来なかった空間が開放され、小田急線や京王線に乗るときに便利になったというのが工事の意義だというが、あの自由通路なるものの陰気くささはなんだろう。ひどく薄暗くて殺風景で、ゾンビ映画に出てきてもなんの違和感がない雰囲気だという思いさえ、わたしはもっている。

新宿駅は、地上も変わってしまった。しばらくのあいだ閉鎖されていたスタジオアルタの向かいの広場のステージは撤去されてしまって、ただの道路になった。もっとも道路といっても、ほんとうにほんのわずかな空間である。どうしてそんなものをわざわざそれまであったものを壊してまでつくる必要があるのか、まったく理解できない。

かつて1964年に行われたオリンピックのときに、それまでの東京は根本から破壊されてしまったので、今回も同じことが行われるはずだと年長のひとたちから幾度となく聞いてはいたが、ほんとうにオリンピックにかこつけて、街がこんなふうになるとは思わなかった。わたしの慣れ親しんだ東京は、ここではないどこかへと、消えてなくなってしまったようである。

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