空き瓶通信0026 NHK特集「手塚治虫 創作の秘密」

cowins / Pixabay

創作は孤独な行為といわれる。創作は自慰行為のように一人きりで行うものであって、人目があると何も出来ないというひとは多い。だからこそ、あらゆるジャンルにおいて創作にたずさわるひとは、自分以外のひとがどんなふうに物を作っているのかが、とても気になるようだ。

このドキュメンタリーは、手塚治虫の仕事場にカメラを持ち込んで、そのすべてを記録する。わたしたちは、カメラの存在などすっかり忘れた手塚治虫が一心不乱になってマンガを描き、そして緊張の糸が切れて机に伏せったりしているのを目撃することになる。神様のようすをじっとみることができるなんて、こんなにぜいたくなことはない。

手塚治虫は、ほんとうにまんがばかりを描いて一日を過ごしている。ときどきどこかに移動するにしても、自作のアニメの仕事だったりする。手塚治虫は、一日を、毎日を好きなことばかりに夢中になって過ごしているのが、映像からびんびんつたわってくる。

わたしにとって、手塚治虫といえば、このドキュメンタリー番組である。小学生のころにいまはもうない駅前の本屋さんでこのビデオを買ってきて、繰り返し繰り返し見た。ほんとうに大好きで、繰り返し見た果てに、すっかり暗記してしまうほどだった。

子供だったわたしは、こんなふうに一日中好きなことをして過ごせたら、どんなにいいだろうと思って、画面の中の手塚治虫を見ていた。そしていま、気がついてみたら世の中はネット社会になっていて、わたしは一日を家で物を書いて暮らしている。かたちは違えど、いちおう夢は叶っているようだ。

Osamu Tezuka documentary

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