
今日は2020年3月8日日曜日。雨が降っている。
中国の武漢で発生したコロナウイルスは、アジアのみならずヨーロッパへとわたり、さらにはここ数日のあいだにアメリカでも感染者が増加しているとの報道がなされている。
それにしてもこの新型コロナウイルス、こんなにも瞬く間に世界中を席巻するとは思わなかった。前回のグエムルについての記事のときは、まだイタリアやフランスといった場所での感染者についての報道もなかったような気がする。ほんとうに、これから先、いったいどのようになるのだろう。
さて、今回も、このような未知のウイルスばかりの日常のなかで、ふと思い出した作品について書いてみたい。今回はゲームソフト『SNATCHER(スナッチャー)』をとりあげたい。
この『SNATCHER』、人気ゲームソフト『メタルギア』シリーズを生み出した小島信夫が1988年に発表した作品なのだが、わたしは、いまの日常がこの『SNATCHER』の世界そのものなのではないかと、ふと思ってしまう。
『SNATCHER』の物語背景は、以下のようなものだ。2042年、神戸湾を埋め立てて作られたネオ・コウベシティに、謎のアンドロイドが出現する。彼らはひとを殺害し、そのひとになりかわって、わたしたちの日常生活に入り込んでいく。英語ですりかわるという意味をもつSNATCHという単語から、彼らはスナッチャーと呼ばれるようになる。
そんなスナッチャーが出現したネオ・コウベシティでは、ひとびとはお互いに疑心暗鬼になって暮らしている。何しろ、目の前にいる人物は、もしかしたらアンドロイドが成りかわっているのかもしれないのである。そんな世の中で、ふつうの社会生活は、おくれるはずがないではないか。
わたしは、新型コロナウイルスでもちきりの現在の世界を見ていて、ああ、いまわたしたちは、『SNATCHER』の世界を生きているのだなと、つよく思う。誰かが咳をしたら、あいつはコロナじゃないかとにらみつけたり、さらには民族に関係する排他的な言動を見たり聞いたりする世の中に、わたしたちは迷い込んだのである。
おりしもこの『SNATCHER』、2020年3月に、PCエンジンミニのソフトのひとつとして再発売される。新型コロナウイルスもスナッチャーも、「あいつはもしかしたら」という思いが、ひととひとの関係を変質させていくという点が同じだが、このような状況で『SNATCHER』をプレイしてみると、さらに感じ入るところがあるかもしれない。
なお、この『SNATCHER』、そのサイバーパンクな世界観は、映画『ブレードランナー』の影響を色濃く受けている。このSF映画の金字塔もまた、人間そっくりのアンドロイドをめぐる物語であるが、その影響はさりげなく、そして堂々と『SNATCHER』のなかで表現されている。
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