空き瓶通信0072 櫻庭露樹『世の中の運がよくなる方法を試してみた』

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このとことろ、片づけをしている。わたしの家はとにかく本やノートやCDといったものが多すぎて、文字通り足の踏み場もない有様なのだが、今年になって家にいる時間がふえて、あらためて我が家の状況を見たとき、さすがにこれではいけないと思ったのである。

もっとも、いざ片付けようとしたところで、あまりに物であふれているので、どこから手をつけていいのかわからないというのが、正直なところだった。そこで片付けのコツについて調べるということからはじめたのだが、さまざまなネット記事において、片づけは運気をアップさせ、人生をいい方向へと変えていくすべであるという記述を、何度も目にした。片づけをして人生が好転する。なんともすばらしい話である。

本書『世の中の運がよくなる方法を試してみた』は、家の片付けや掃除といったことを中心に、こんなことをしたら不思議と運が向いてきたという具体的な行動が書かれている、いまふうにいうならばいわゆるスピリチュアルな領域をあつかった実用的な本であるが、この本の特徴は、とにかく運がよくなりたいのならこれをやるといいということが、これでもかと列挙されているところにある。この手の本ではよくいわれる財布の選び方やトイレや玄関をきれいに保つことにはじまり、言葉遣いの大切さ、ついていないときの対処法にいたるまで、ひとつひとつが著者のエピソードをまじえて語られていて、読んでいてこれなら自分にも出来そうだという気持ちになってくる。

さきほども述べたように、本書の中心となっているのは生活環境を清潔で心地よい状態でいかに維持するかということなのだが、著者はそれを不用品には邪気がこもっているといったようなスピリチュアルな言葉で説明をするとともに、使わないものを処分することによって単純にふだん生活をしている空間が目に見えて変わるので、それだけであたらしい気持ちで人生に臨めるようになるといったような、世俗の常識に訴えるいいかたもしている。このような二本立てによる論の展開は、この手の本においてはめずらしい。

結びにあたって、本書にあった片付けのコツについて紹介したい。著者は床が見えるようにすることをとりあえずの片付けの目的としてあげ、まずは床面積を広げることにいのちをかけるべきといういいかたすらしている。わたしの家もそうだが、物が多すぎる場合、押入れや棚といったところだけでは収納できなくなった物が無残にも直に床に置かれ、それが部屋をせまく、汚く見せる原因となっている。たしかに片づけをはじめてみて、床が見えてくると、さっぱりした気持ちになった。こんなにきれいにしたという達成感も味わうことも出来るので、まずは床から手をつけるというのは、精神的にも有効なやり方であると思う。

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