高山宏 學魔_nonbot 鏡花幻想文学誌 異界/境界 「平地人」の戦慄 50~51

鏡花幻想文学誌 異界/境界 50): ここでも長谷川時雨のいわゆる鏡花の「水色情緒」まことに見事で、大洪水と化して六塵世界を死滅せしめる水が、俗物どもを獣に変える「怪しの水」が聖の「疵の痛み」を「花びらの中へ包」むような「質の佳い水」となる。怖るべき山姥を「若い母様」と呼ばしめている..

鏡花幻想文学誌 異界/境界 51): のは間違いなく母恋い人泉鏡花その人である。こうして聖は回帰してくる。居残ろうとしたところ、「女に命令されるやうに心得た」ので立ち去るというのだが、この「命令」はユングの右に述べた「補償夢」説の構造そのものである。

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