高山宏 學魔_nonbot 鏡花幻想文学誌 異界/境界 「平地人」の戦慄 33~35

鏡花幻想文学誌 異界/境界 33): あらゆる範疇の融解を実現するパワーはもう一度言えば、強化される二項対立的区分の犠牲者たちの怨嗟である。境界の彼方に「非区分的共同体(コミュニタス)」(V.ターナー)が出現する。主人公が聖であるということに注目しよう。

鏡花幻想文学誌 異界/境界 34): 当時の宗教界の堕落と無力に対する揶揄といわんよりは、むしろ当時の知のあり方(教育、宗教を含めた広義のペダゴギー)一般への嗤いと見た方がよい。人々の魂の善導をこととすべきそういう族の頽廃と無力また『草迷宮』のへ理屈教師、『夜叉ケ池』で女主人公に犠牲死を..

鏡花幻想文学誌 異界/境界 35): 迫る坊主や訓導一党の愚かな言行にずっと引き継がれて書き綴られる。高野聖自身もまた、そもそも「参謀本部編纂」の地図をもって旅するような「知識」人であったはず。物語はそうした近代に俗化された精神の再イニシエイションにかかわる。

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