鏡花幻想文学誌 異界/境界 9): およそあらゆるものの「起源」に結びつき、「起源」へと辿り戻すことのできる民俗的なネットワークが次々と寸断され、あるいは滅び、あるいは伏流水と化して地下に潜り、あるいは人気絶えた「山」中に黝々と澱む様子が察せられる。
鏡花幻想文学誌 異界/境界 10): この追いつめられたものたちの想界を執拗に描くのが鏡花異界テクストの使命だった。「私」を乗せた汽車は新橋を発ち、名古屋、米原、長浜、柳ケ瀬を経て敦賀に入る。昔なら艱難辛苦の大旅程に当るところを易々と旅は進み、ほとんど観光小説である。
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