高山宏 學魔_nonbot 身内と胎内 『失われた庭』の僕 63~65

身内と胎内 『失われた庭』の僕 63): それにもしF.G のY.Z との結婚が世間一般的にうまくいっていたならF.G はF.Z であったはずで、この矢川アルファベの繊細微妙の操作術の中では、主人公がF.G であることには作品全体を反映する複雑な意味がある。

身内と胎内 『失われた庭』の僕 64): 女であることがまだ自らよくわからない間にもとにかく女として書かねばならない曖昧な自分を、さし当り括弧というかギュメを付して《女》と書けばよいということをF.G に教えてくれた「あの怜悧な少年のアルス・ポエティカの力添え」に感謝するくだりには..

身内と胎内 『失われた庭』の僕 65): さすがに苦笑せざるをえないが、その「A.A くん」とはむろん「先年、日本列島をかけぬけたA.A 旋風」のあの浅田彰くんのことである。1994年当時だったら、このA.A のあからさまな指示性をわかって笑わぬ人がいたとは到底思えない。

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