身内と胎内 『失われた庭』の僕 32): かつて自分が制作した書物『LOST・GARDEN』をひとり高く評価してくれた美術評論家E.H と、女主人公F.G はイタリア美術勉強ツアーに同行するという話になる。そして「天使城」のことになると、これが「[さながらヨーロッパ史上最大の超現実主義的なオブジェ]」..
身内と胎内 ..33): だとあって「….」の引用の形式でわかるように、これは実はそっくり『迷宮としての世界』の有名な「天使城」評なのである。ぼくがホッケのマニエリスム論の画期書を読み始めた年、それが矢川澄子が渋澤龍彥との縁を解消した年であるというのも私的にはとても気懸りだった。
身内と胎内 『失われた庭』の僕 34): 終わりから始まったのだなと。渋澤を一般読者にも割に面白い著者として世に知らしめた『夢の宇宙誌』が1964年。そして『迷宮としての世界』の美術出版社邦訳が66年。片田舎の中・高で英数国漢の模擬試験暮しに明け暮れていた鼻たれが、そんな華やかな文化変化の..
身内と胎内 『失われた庭』の僕 35): 動向を知る由もなく、上京した68年を機にそれら全部がどうっといっしょくたに入ってきた。渋澤もホッケも、種村もバルトルシャイティスも一丸となって入ってきた。一人々々見るに筋金入りのマニエリストたちだ。
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