空き瓶通信0008 新型コロナウイルスと『パーフェクト・センス』


この文章を書いてているのは、2020年2月24日月曜日だが、現在のわたしたちの社会は、新型コロナウイルスと呼ばれる中国の武漢から発生した未知の病原菌によって、大きく揺さぶられている。

この一か月というもの、中国国内での感染者と死亡者の増加を聞いて過ごしていたが、ここ十日間は日本各地での感染のひろがりと、これから先の状況への不安の声がネットからあふれるようなり、文字通り危機が迫ってきているという感覚をつよくもつ。

さて、このような状況にあって、わたしは一本の映画を思い出した。2011年に制作、公開されたイギリス映画『パーフェクト・センス』である。未知のウイルスによって人類が臭覚や味覚をはじめとする五感をひとつひとつ失っていくさまを描いた作品なのだが、現在の状況にあって、わたしははからずももうずいぶんとまえに見た、この映画を連想してしまったのである。

わたしたちは、自分自身を支えている五感はもちろんのこと、社会生活を支えるインフラについても、それらが存在するのはごく当たり前のものとして考えて、毎日を生きている。それらのものはけっして自明のものなどではないにもかかわらず、そう思ってそれぞれの日常をかたちづくっている。

この『パーフェクト・センス』は、未知の感染症による五感の喪失というショッキングな出来事を鍵としながら、社会構造が麻痺し、日に日に混乱していく世界の中にあって、人間とは何かを問う作品となっている。

パニック映画でありながら、男女の恋愛映画としても美しい『パーフェクト・センス』。わたしたちの世界がこれから先、大きな混乱に陥らないことを願いつつ、いまこの時期に見てみるのも、いいかもしれない。

ちなみに、この映画の映像における白眉は、自転車で街を行くシーンである。自転車の描写が印象的な映画といえば、フランソワ・トリュフォーの短編作品『あこがれ』が思い出されるが、わたしは自転車の映像において、本作ほど美しいものを知らない。ゆったりとすべるようにやってくる自転車をみて、自転車とはなんと優雅な乗り物なのだろうと、わたしはふかく思うのだ。

映画『パーフェクト・センス』予告編
Les Mistons – Opening

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