空き瓶通信0081 篠山紀信の撮影による三島由紀夫の写真集がアメリカで発売


篠山紀信撮影による三島由紀夫の写真集が、アメリカで発売になるという。タイトルは、『OTOKO NO SHI』、そう、『男の死』である。

ニュースを知ったわたしは、自決から50年というときを経て、海外とはいえ、ついにこの写真集が発売になるのかという思いをいだいた。『男の死』は、当時発売が予定されていたものの、突然の三島の自決によって企画自体が流れてしまった、不幸な作品である。その内容についてはタイトルからも分かるように、三島由紀夫がさまざまな男の死に様を演じているというものである。

三島由紀夫は、写真集『男の死』にたいして、つよい思い入れをもっていたようだ。三島が自決をしたのは1970年の11月25日だが、この写真集については9月17日に写真集に最初の打ち合わせがあり、そのちょうど二ヵ月後の11月17日にすべての撮影が終了、自決の5日前にあたる11月20日に三島は森田必勝とともに篠山紀信のスタジオに出向き、みずから写真集に収録する写真を決定している。

なお、さまざまな媒体で報道された『OTOKO NO SHI』刊行のニュースには記載されていないが、この写真集に収録されるであろう三島由紀夫のいくつもの死の写真については、すでに『血と薔薇』創刊号において発表されている「聖セバスチャンに扮した殉教」をはじめ、未発表のものとしてはトラックによる轢死や斧で頭をかちわられているもの、さらには篠山紀信の介錯によって果てる切腹をする三島の写真もあるといわれている。三島自身が選択をした写真は、今回すべておさめられるのだろうか。気になるところである。

今回のプレスリリースで公開された三島由紀夫の顔写真は、誰がどう見ても生首にしか見えない。三島由紀夫は、自分の死に顔をあらかじめ篠山紀信に撮らせていたということになる。三島はこの本におさめられる一連の写真を、みずからの遺影にするつもりだったにちがいない。

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