空き瓶通信0076 映画『イエスマン』

Alexas_Fotos / Pixabay

映画『イエスマン』は、ひょんなことからあらゆる状況においてYESとこたえることを強いられた主人公が、それまでの自分の枠を超えて、新しい自分へと変容していくコメディー映画である。

ジム・キャリー演じるカール・アレンは、銀行マンという花形の職業につき、金銭的な余裕はあるものの、数年前の離婚の痛手をいまだに癒すことが出来ず、最近は何をするにも億劫で仕方がない生活を送っている。そんな折、ばったり会った知人から、すべての物事にイエスとこたえ、それを実行すれば幸せになれるという自己啓発セミナーに参加をすることをすすめられ、これがきっかけとなって、思いがけず彼の人生が変わっていく。

どのような状況にあっても、依頼や懇願、勧誘をされたら、イエスと答えるのがこのセミナーのルールである。ホームレスからヒッチハイクを求められたら応じ、有り金のすべてをわたす。ギターを習い、韓国語の教室に通い、バンジージャンプをする。はたから見たらめちゃくちゃな生活だが、偶然の流れに乗ってまったく興味のないことであったとしてもとりあえずYESと応じてみることで、そのひとつひとつのYESが数珠繋ぎとなって新しい出会いをうみ、カールはまるで生きながら生まれ変わったかのような気持ちになって、毎日がハイテンションで楽しいものとなっていく。

人間というものは、誰しも自己イメージというものをもっていて、その枠のなかでしか、ものを考えることが出来ない。その傾向は年をとるにつれてつよくなり、自分とは異なる価値観を持つひとを毛嫌いしたり、生活面においても自分のやりかたにこだわって判断を狭め、選択肢を貧しくしたりするようになる。

イエスというひとことで誘いにのることは、そんな自分の殻を破り、いやがおうにも新しい体験をもたらすのだと、この映画を見ているとよくわかる。もちろん世の中には悪いことをする人間もいるので、現実ではすべてにおいてYESとこたえて生活をするのは難しいことではあるが、それでもイエスと応じてみることで自分の価値観の外に踏み出すことは、確実に新しい何かとの出会いをうみ、また何よりも新しい自分と出会うことにもなる。

自分を変えたいなら、何十万円とする自己啓発セミナーに通うのではなく、イエスを積み重ねてみよう。それだけで、毎日は確実に変化していくはずだ。またその先には、自分の人生そのものにYESと思える自分が待っているはずだ。自分を大きく肯定できるなら、こんなにもしあわせなことはない。

ワーナーオンデマンド配信中『イエスマン"YES"は人生のパスワード』

↓↓↓読んだよ!

0