空き瓶通信0037 CM「サントリー オールド」

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テレビコマーシャルは不思議な存在だ。作り手としては15秒、あるいは30秒という時間の制約のなかで、商品の購入やサービスの利用をうながすメッセージをつめこまなくてはならない。だが、あまりにストレートに宣伝をされてしまうと、見せられる側としてはうんざりしてしまう。そこで、作り手は見るものの印象に残るように、あの手この手を使うことになる。

そんな作り手と見るもののせめぎあいが、結果としていくつもの名作といえるCMを生み出してきた。長塚京三と田中裕子が主演する1990年代中頃に放映されたサントリーオールドのCMも、そのひとつである。

まず、キャッチコピーがいい。「恋は、遠い日の花火ではない。」これは、小野田孝雄によるコピーだが、こんな言葉を目にして、胸がさわがない大人はいない。

また、CMをいろどる小林亜星の楽曲がいい。ゆくりなくもそのメロディーはこころの傷を思い出させ、だがその痛みはある種の懐かしさも喚起する。ゆったりとくり返される旋律は、聞くものをそんな気持ちにさせる。

そしてなにより、田中裕子がいい。女の気持ちがじゅわっとあふれ、におい立つような田中裕子がたまらない。とくに弁当屋の店先にたっている、田中裕子の表情がすばらしい。年若い男からの面とむかった思いがけない告白に虚をつかれるさまなどは、天才だとおもう。

若い女子社員の言動に始終目を泳がせている長塚京三の気持ちも痛いほどわかるが、田中裕子があまりにもよすぎる。ジュリーはこんなに才能あるおんなのひとと一緒に暮らしているのかとおもうと、心底うらやましくなる。

【CM 1994-96】 SUNTORY OLD 恋は、遠い日の花火ではない。 30秒×6

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