音楽が素敵なのは、歌い手がかわり、アレンジがかわることで、まったく別の作品になってしまうところにある。メロディーラインは同じなのに、どうしてこんなに印象が違ってくるのだろう。そんなふうに思えるカバーは成功である。今回紹介する柳ジョージの「テネシーワルツ」は、思わず聞き入ってしまう演奏であり、そして歌唱である。
「テネシーワルツ」というと、ダンスパーティーで恋人を古くからの友達に紹介した結果、その恋人をとられてしまったという失恋の歌である。オリジナルはパティ・ペイジが歌い、日本では江利チエミが歌い大ヒットしたが、オリジナルも江利チエミバージョンも、ともに失った恋と裏切った友へのこころの痛みを切々と歌いあげているのにたいして、この柳ジョージのバージョンは、まったくことなったアプローチをとっている。
柳ジョージは、恋人と友人に裏切られたシチュエーションを、明るく笑い飛ばす感じで表現する。ああ、やっちまったと思いながら、多少やけになりながらも、誰を恨むでもなく、苦笑いを浮かべている。
生きていると、友人だと思っていたひとに裏切られることもある。特にそれが異性がらみということは、いやがおうにもある。「テネシーワルツ」が時を越えて聴かれている背景には、そんな人生の悲しみがあるのかもしれない。
テネシー・ワルツ
Patti Page – Tennessee Waltz (Original Classic with Lyrics)
江利チエミ テネシー・ワルツ(3) 1962 / Tennessee Waltz
Primary Colors Soundtrack – 'Tennessee Waltz/Don't Break Our Hearts' by Ry Cooder
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