鏡花幻想文学誌 異界/境界 59): 面白い次元がひとつ加わるとすれば、語りの視点が次々に別の人物に担われて、一見没関係な逸話(アネクドータ)の集積体が少しずつ符号して、事件の全体像を透かし見させるようにした大層テクスチュアルな仕掛けで、手毬を編む糸より始めて、いたる所繁茂する「藤」だの..
鏡花幻想文学誌 異界/境界 60): 「蔦」だのが文字通り言語織布(テクスト)の唐草模様(アラベスク)の比喩に転じていく絶妙の呼吸は類がない。即ち草迷宮とは草茫々の魔邸を指すと同時にその仔細を語るとりとめもなく枝に分かれ葉に分かれ繁茂し続ける言語構造そのものを指して言った言葉なのに相違ない。
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