鏡花幻想文学誌 異界/境界 57): 一方、旅の僧が一人の男が狂気になった所以を小耳に挿むところから、この僧も問題の空家に行き、こうして全然相関係ない展開と見えた二つの物語が区々符号しつつ一つの物語世界を織り上げるにいたる。亡母の縁者らしい女性の精霊が若者の夢に現われて問題の手毬唄を..
鏡花幻想文学誌 異界/境界 58): 歌ってやっているらしい。らしいというのは、夢みている若者を外から観察している僧がそう思っているからだけのことだからだ。こうして異界、その中心にいる原-母(ウルムッター)、その周辺に立つ水の気配と、魂変容劇のためのおなじみの道具立ては全て出揃っている。
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