高山宏 學魔_nonbot 鏡花幻想文学誌 異界/境界 「平地人」の戦慄 14~17

鏡花幻想文学誌 異界/境界 14): 雑駁な言い方をすると、鉄道時刻表によるローカル・タイムの制圧を通して、文字通り中央からあっという間に兵力を送りこめる高速な運送網の完成を通して、中央権力が地方文化の時空をコントロールしてしまった瞬間に鏡花異界文学は憤怒をこめた出発を経験する。

鏡花幻想文学誌 異界/境界 15): 『高野聖』冒頭にはもうひとつ「平地」文化の強烈な小道具が出てくる。旅人が利用する「参謀本部編纂」の「絵図面」である。濛として形状さだからぬ山や森を非情な記号と化し、ペラペラの紙の上に文字通りの「平地」として二次元化していく地図こそは記号化の..

鏡花幻想文学誌 異界/境界 16): 暴力装置以外の何ものでもないだろう。しかも「参謀本部編纂」が明かすように、日清・日露の戦争準備を介して富国強兵教育と軍閥が大いに伸張していた時代でもあったことが透けて見えてくる。鉄道熱にしても実際には、兵員糧食の迅速な運搬を言う軍当局の意向を..

鏡花幻想文学誌 異界/境界 17): 反映したものであったはずだ。「私」は掛川で高野聖と同席となって旅を続ける。この聖が敦賀の宿で「私」に語ってきかせる幻怪譚が入れ子箱の中味となって、作品は二重化する。昔、飛騨山中の「魔処」で聖は不思議な美女に出遭った。

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